コラム

オーケストラが演奏前に音を出しているは何をしているのか?

みなさんは、オーケストラなどの演奏の前に各々の楽器が音を出し始める瞬間を見たことがあるでしょうか?

オーケストラの演奏会に行くと、指揮者が拍手と共に出てきてすぐに演奏が始まるわけではありません

しばらく静寂があり、たくさんの楽器が音を出し始めます

その音が混じり合ってなんとも形容しがたい響きになって会場を包み込みます

これを聴いて「いよいよ始まるんだな。ワクワクする」という方もいらっしゃるかもしれません

このようなオーケストラが演奏前に音を出しているのはどんな意味があるのでしょうか?

今回は、演奏前に音を出す意味や、その役割について紹介いたします

オーケストラが演奏を始める前にチューニングをする理由

どのような楽器でも、時間がたつとピッチ(音程)が狂っていまします

特にオーケストラは楽器の集合体ですから、それぞれのピッチが狂ってしまうと一つの音楽を演奏することができません

このピッチを合わせる作業がチューニング(音合わせ)といわれます

もちろん、奏者は楽屋であらかじめチューニングをしておきます

 

ところが、舞台上では強い照明や人の熱気などで温度や湿度が変化してしまうことが考えられます

楽器は繊細なものですから、この微妙な温度や湿度の変化がピッチに影響を受けてしまうのです

しっかりとした音程で演奏するために、舞台環境に合わせたピッチの微調整を行う必要が生じるのです

これがオーケストラが舞台上でチューニングする理由です

演奏前に音を出しているのはオーボエ

チューニングをするといっても、それぞれ好き勝手に音を出しているわけではありません

オーケストラは大所帯ですから全体の調和のとれた響きにする必要があります

そこで、一つの楽器に音を合わせることになります

その大任を果たしているのがオーボエです

チューニングをしている場面をよく聴いてみると、オーボエが音を出し、その音に合わせてコンサートマスターがヴァイオリンを弾いて他の楽器がチューニングを開始しているのがわかると思います

では、なぜチューニングの最初の音はオーボエなのでしょうか?

オーケストラには大きく弦楽器と管楽器があります

弦楽器は、弦が舞台上の温度で伸びたり、弾いているうちに弦が緩んだりして一度合わせてもまた狂ってしまうピッチの不安定な楽器といえます

ピッチの不安定な楽器では、最初に合わせる音としては向いていませんね

 

一方、管楽器は管を抜き差しして長さを変えることで音を合わせるのですが、管楽器の中で管を抜き差ししてピッチを調整することができない楽器があります

それが、オーボエファゴットです

管の途中で抜き差しして合わせる部分がないので、演奏者はチューニングするピッチに合わせて事前にリードやボーカル(ファゴットと本体をつなぐ金属製の管)を用意します

つまり、他の楽器の音を合わせても仕方がないのでオーボエが最初に音を出して、みんなが合わせるというわけなのです(ファゴットはどうやって合わせているのかという疑問がありますが、実際、ファゴット奏者に聞いてみると「気合いだ」といわれるそうです)

他にもオーボエの音が長くてよく響くので、他のメンバーに聴こえやすいという理由もあるようです

 

オーボエの音が一番安定しているから合わせるという説もありますが、残念ながらオーボエ奏者にいわせると1、2を争うほど不安定な音でリードの調子にいつも神経質になっているそうです

 

もう一つ忘れてはいけないのがオーケストラに鍵盤楽器が入ったときです

シロフォンやグロッケンシュピールなどの鍵盤を持つ楽器はチューニングをすることができません

ピアノやチェンバロも楽器の中を開けて調律はできますが、オーボエで音を合わせてチューニングすることは不可能です

そこで、オーケストラでピアノ協奏曲などを演奏する場合は、オーボエではなくコンサートマスターがピアノの鍵盤で音を出してそれに全楽器が音を合わせています

オーケストラが演奏前に合わせている音は「ラ(A)」

オーボエが最初に出す1音は「ラ(A)」です

なぜ、ラの音に合わせるのでしょうか?

 

古代ギリシャで当時使われていた弦楽器に張られていた弦の中で、最も低い音の弦を「A」と名付けました

それが今の音でいう「ラ」であったようです

現在のヴァイオリンなどの弦楽器もラの音は開放弦(左手は何もおさえない)で出せるためチューニングしやすいという利点が挙げられます

このラの音の周波数は440ヘルツ(Hz)と1939年の国際会議で標準と決められています

しかし、現代のオーケストラはこれよりやや高いピッチの442〜444ヘルツくらいでチューニングすることが多いようです

それはなぜかというと、ピッチが上がると音が華やかになるので、現代の音楽では好まれているようです

そういったことからピッチは、時代によって変化していくものといえるでしょう

 

また、古楽器のオーケストラは低めのピッチを選んでチューニングするため、やや渋い音がするという特徴があります

オーケストラによって響きや色合いが異なるのを聴き比べてみるのも楽しみ方の一つといえます

演奏前のチューニングをミニケストラでも確認してみよう

ツダミアミニケストラ
引用:【イベントの様子を公開】ミュージックタペストリー〜心と心を紡いで〜

ミニケストラでは、まずピアノがA(ラ)の音をだして、バイオリンが音をチューニングしていきます

さらにその音に合わせて、フルート、コントラバス、コントラバスが合わせていくのです

 

ミニケストラのコンサートは、普通のオーケストラと比べて演奏者と観客の距離がかなり近いです

ぜひ演奏はもちろんのこと、始まる前のチューニングに注目してみてください