作曲/アレンジ

【楽曲紹介】『魔訶不思議アドベンチャー!』のアレンジを読み解く

皆さんこんにちは!

今回から連載として、ミニケストラがアレンジする楽曲のご紹介をしていきます

 

第一回目は、記念すべきミニケストラ最初の投稿楽曲である『魔訶不思議アドベンチャー!』です!この有名楽曲を聴き手の視点で読み解いていきます

 

こちらが、『魔訶不思議アドベンチャー!』のアレンジ曲です

 

『魔訶不思議アドベンチャー!』について

ミニケストラ版をご紹介する前に、まず簡単に原曲についておさらいしましょう

この曲は、1986年(昭和61年)にTVアニメ「ドラゴンボール」の主題歌として発表されました
歌は高橋洋樹さんです

作詞は森由里子さん、作曲はいけたけし(池毅)さん、編曲を田中公平さんが担当しています

 

今でも主にアニメ音楽を中心として、現役第一線で活躍されている方々ばかりで、その人たちの携った仕事を眺めてみると、ただただ驚くばかりです

 

幼少期にドラゴンボールにお世話になった人も多いのではないでしょうか

 

 

曲調はアニメの内容にふさわしく、疾走感と力強さに溢れています

ドラムから始まって、シンセサイザーとベースによる「あの」イントロが特徴的ですね

そして、曲の温度を急上昇させるのが、ホーンセクション(特にトランペット)による伴奏!

 

書いていてもワクワクしてきます

 

フレーズが歌詞のまとまりごとに細かく切れるのが印象的で、覚えやすく、ついつい口ずさんでしまいます

高橋洋樹さんの歯切れ良い歌声に、フレーズの短さやバッキングの絡みもあいまって、「タテ」感の強いメロディになっているのではないでしょうか

 

原曲は力強さやカッコよさと言う印象を抱く、まさに「ドラゴンボール」にぴったりの曲調です

何度もアレンジされるのも納得の一曲だと思います

これがミニケストラの手にかかると、どう生まれ変わるのでしょうか?

 

ミニケストラ版は一味違う!


ミニケストラの魅力の一つは、オーケストラで用いられる楽器による、最小単位の編成であることです

普通、アンサンブルの編成は同族楽器によるものが多いのですが、ミニケストラの特徴は「管・弦・打」の全てが揃っていることです

 

管はフルート、弦はヴァイオリン・チェロ・コントラバス、そして打がピアノ

クラシックというジャンルの中でこの三つが揃っているアンサンブルって、意外とないんです

全国的に見ても、この編成は珍しいのではないでしょうか

 

そのため、オーケストラの持ち味である豊かな音色や幅広い演奏表現は残しつつ、アンサンブルの持つ「軽やかさ」や「小回りのききやすさ」を備えている編成となっています

 

ミニケストラ版「魔訶不思議アドベンチャー!」

ミニケストラはまさにクラシックのスタイルでアニメソングを演奏するのに最適な編成

「魔訶不思議アドベンチャー!」でも、魅力を発揮します

曲全体では、原曲の持つフレーズの短さや歯切れの良さをそのままに、疾走感ある編曲になっています

この小気味よい演奏は、小編成ならではです

 

タテとヨコが移り変わる演奏

原曲との大きな違い、ミニケストラ版の魅力が「タテ」と「ヨコ」の移り変わりです

イントロ〜Aメロ前半(0:00〜0:25)は、原曲にのっとったタテの動きがはっきりしていますが、途中から(0:26〜)ヴァイオリンを効かせたヨコの動きに変わります

 

ヨコの動きに変わった部分はこれ↓

 

ヴァイオリンがヨコのメロディを歌いこんでいる後ろでは、チェロ、コントラバスがリズムを刻み、ピアノが連符で支えることで曲が失速してしまうのを防いでいます

ミニケストラ版では、タテとヨコの交代が繰り返されることで飽きさせない編曲になっています

 

チェロのソロで曲に奥行きを出す

また、クラシカルなアレンジの醍醐味を味わえるのが、チェロのソロ(1:08〜)から始まる一連の流れです


チェロがヨコの動きをしっかり効かせつつ、色香あるソロを弾いています

しかしそれだけではなく、注意深く聴くと、コントラバスの対旋律やピアノの連符など細やかな仕事が光る部分となっています

三つの楽器による、すっきりとしながらも奥行きのある演奏ではないでしょうか

少し憂いを帯びたチェロのソロ、ヴァイオリンとのデュオは原曲の歌詞にあるハツラツさとは対照的に、まるで冒険の持つ「孤独」や「悲しみ」を表しているようです

 

曲に華をだすフルート

アンサンブルに華を添え、また引き締めているのがフルートです

フレーズ間や終わりにフルートの連符が入ることで曲のアクセントとなり、聴き手の注意を引きつけています

 

弦のみの構成だと、どうしても間延びしやすくなってしまうのですが、フルートが入ることでアンサンブルの密度がぎゅっと高まっていますね

特に、息を吹き込む楽器だからこそできる、疾走感ある上昇系の連符がポイントです

曲全体を通して、休符の多いアレンジ(原曲もですが)となっています

アンサンブル全体で休符があるということは、その瞬間無音になる、ということなのですが、この無音が非常に良い味を出しています

そして、休符直後の一音がバッチリと揃っているのはミニケストラの技術力、アンサンブル力の高さではないでしょうか

音楽を演奏していると「休符も音符」という言葉を聞くことが多いのですが、まさに音符として休符を「演奏」しているのが伝わるのではないでしょうか

 

アニメソング原曲と聴き比べる

ここまでミニケストラ版「魔訶不思議アドベンチャー!」の魅力について聴き手の視点でお話して来ました少しでもミニケストラ版の良さが伝わったでしょうか?

次回は作り手の視点ということで、どのようにアレンジを行なったかピアノ&アレンジ担当のあさみ先生に話を聞いていきます

 

今回そして次回の記事を読んでから聴いてみると、また違った聴こえ方になると思いますよ!

また、その際には是非、原曲との聴き比べをしていただきたいです

 

原曲とミニケストラ版、それぞれに魅力があります

その魅力を探しながら聴いてみるのも一興です

「ここが違う!」とか「こんな風にアレンジしているのか」などなど、意識的に聴くことでクラシックがより身近に感じられるのではないでしょうか

今後も、原曲と比較しながらミニケストラのレパートリーをご紹介いていきますので、お付き合いいただければ嬉しいです!

 

それでは次回の作り手の視点での記事をお楽しみに!